◆「敵をつくらない人間の真の生きかた」 【前編】

人間はこの世に生まれ落ちたときから、“競争社会”の一員として
スタートさせられる運命にあります。


小学校や中学校で猛勉強させられていい大学に入るのも、人より
いい人生を歩むためという大義名分の元で人に負けるなと親から
煽られます。

社会に出れば出たで、上司からは他社に負けるなと尻を引っぱたかれ、
同じ会社の同僚も出世のためのライバルとしてしか
存在しなくなっていきます。



こういう競争世界が現実であると知っていながら、人々は、また
マスコミ等は「共存共栄」こそ人間の幸せの原則であると言います。


だれもが、自分自身のことより他人である相手のことを考えて
思考、行動すれば世の中はうまく行くと言うことを知っている
はずですが、なかなかそうは出来ません。

たしかに、今日まで文明というものは、人間の競争本能が築き
上げてきたといっていいでしょう。

しかし、人間ひとりひとりを考えた場合は、競争というものには
必ず勝つものと敗れるものが存在します。

負ければ悔しい思いに駆られますし勝てば勝ったで相手に嫌われたり、
人を敵に回したりする現象も起こってくるものです。



負けた人間はプライドを傷つけられるし、勝った人間は、自分が
さらに強い競争の標的になることを自覚し、両者とも精神的に
大きな抑圧(プレッシャー)とそれに伴うストレスに見舞われる
ことになっていきます。


となると、勝っても負けてもそれ自体がストレスの固まりと
なってしまい、人間の生き方として、幸福感には程遠い、むしろ
苦しみに満ちた人生となってしまいます。



画像



仏陀の言葉のひとつの「生もまた苦である』
という意義がここにあります。




 それでは私たちは社会の一員として、いったいどうすれば
ストレスのない、幸福と安らぎを味わえる人生を創造することが
出来るのでしょうか。

これまで述べてきた「競争」という言葉を「共存」という言葉に
置き換えて考えてみると、分かりやすくなってくると思うのです。


いま、私自身のことを考えてみても、私は一人でこの世を
生きているのではありません。


同じようにあなただって一人で生きているわけではないでしょう?


あなたが奥さんであれば、あなたには夫という人がいます。


お子さんも一人か二人いらっしゃるでしょう。


また、ときどき訪ねてくるあなたのお母さん、お父さん、そして
田舎にいるお兄さんの存在も忘れてはいけませんね。


さらに、いつも何かと世話になるご近所の奥さんもいますし、
あなたは疎んじているかもしれませんが、旦那さんの方のご両親、
ご兄弟もいます。

さらに言えば、ご主人の会社の上司や同僚だって、間接的にかも
しれませんがあなたの人生に深く係わってくれている人々です。



そういう人たちの協力があって、あなたは今というときを生きて
いるのです。

言い換えれば、それらの人々が生きていてくれるから、自分という
生命が成り立っているのです。

・・・・・つづく・・・・・・



パティパダーNo.1 (1995年3月創刊号)巻頭法話より
A・スマナサーラ長老

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